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バックナンバー2005年8月第2週

『かわいそうなぞう』
つちやゆきお:ぶん たけべもといちろう:え (金の星社) \945

終戦記念日間近ということで、今週は戦争関連の本を。

初版の発行された1970年以来現在まで、長く広く読まれ続けているこの絵本は、戦時中の上野動物園にいた、3頭の象について書かれたノンフィクションです。

有名な絵本なので知っている方も多いと思います。
子どもの頃読んでもらった人が親になった時にこの本のことを思い出されて買っていくことも多いです。

日本が戦争をしていた頃。
戦争が激しくなって、ついに東京にも爆撃機が空襲しにやってくるようになりました。

もし爆弾が動物園に落ちて檻が壊れ、猛獣たちが街に解き放たれたら大変なことになります。
動物園にいる、人間に危害を加えそうな動物たちは皆、毒入りの餌を食べさせるなどして処分されました。
でも賢い象たちは、毒入りの餌を食べようとしません。
仕方がないので、象たちには食べ物も水も一切与えず、餓死させることにしました。

餌をもらえない象たちは、飼育員が様子を見にやってくると必死に芸をします。
芸をすれば餌がもらえると思ったからです。

見るに見かねた飼育員の象係は、ついに命令を無視してこっそり餌をやってしまいます。
しかし結局、象たちは死んでしまうのです。

動物園の人たちの辛い気持ちが痛いほどよく伝わってきます。
動物たちは何故殺されなければならなかったのか?
戦争を考えるいい機会にもなります。

ちなみに。
絵本の中で上野動物園には今インデラ、ジャンポー、メナムという名前の3頭の像がいると書かれていますが、2005年8月現在ではメナム、ダヤー、アーシャー、スーリヤの4頭になっているようです。

(文:小人店員)

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