1856年、船で新大陸へ旅立つブライディさんが手に持っていったのは、
納屋につるしてあった一本のシャベルでした。
仕事のかたわら、花の苗を育てて売り、雪かきをした川にスケートに通い、
大雨の土砂をすくい、ストーブの石炭をくべ…
ブライディさんのシャベルは大活躍します。
生涯、一本のシャベルを大切に使いこなしながら新しい生活を切り開いていく
ブライディさんの姿は、逞しく、楽しく、尊厳に満ちています。
後書きによると、『雪の写真家ベントレー』でコールデコット賞を受賞した版画家から、
文や訳を書いた方まで、皆、愛用のスコップを持っているそうです。
(文:池上)