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競い合い

「おれの仲間は/自分のことは自分でやる/みんなのことは/みんなで力を合わせる/だから一人になっても心細くない」
ある少年の詩の一部だ。
仲間の一人一人が、自分のことを精いっぱいやれば、あいつがやるなら、俺だって、こんな気持ちになる。
ある中学生、毎朝、家の近くの遊び場の清掃をしている。
「自分がやることは自分で決める。そう約束した。友だちだってやっている。負けちゃあいられない」
というのだ。
時には、夜遅くまで、その友だちと顔を寄せ合って勉強する。
テストの点数を見せ合って「この次は負けないぞ」とも。
一人ではできないことでも仲間がいるからできる。
人間ってみな違う。
その人なりの特長があり、良さがある。
競い合うとは、その良さを、お互いの努力の跡を認め合うことではないのか。
足を引っ張り合うことではない。
自主性を阻害する、止めなくては、としたら、上っ面の楽しさを追い求めるだけの関わりに終りかねない。
一人一人に補い合い、支え合うことの大切さを知らせるためにも、一つのことだけに縛りつけるのではなく、それぞれの特長が存分に発揮できるさまざまな場面で競い合わせたい。
競い合いを形だけで見てほしくない。
『けんかのきもち』柴田愛子(ポプラ社)
ぼくの一番の友だちはこうた。
なのにこうたとすっごいけんかをした。
『オオカミのともだち』きむらゆういち(偕成社)
オオカミは、一人の方がいい。
友だちなんかめんどうくさいと思っていた。
ある日、大きなくまに出会った。
『おいたてられた二匹のカエル』とだこうしろう(戸田D研究室)
二匹のカエルが池を追いたてられた。
(文:石川 貢)

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