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バックナンバー71

語り継ぐもの

「あなたの目で/確かに見つめなさい/ここに あってはならないことが起こり/ここに今とりかえしのつかないことが続き/ここにやがてみんなの亡びの兆しが/あらわれるかも知れない/片目で見ないで/腕や頭で見ないで/絶望に耐えている者の目で」。
吉永小百合が『第二楽章 ヒロシマの風』(角川文庫)と題して、小中高生に読んでほしい原爆詩、二十編を選び出版した。
四年前のことだ。
今、子供たちにとって、戦争といえばゲ-ムからくるイメ-ジしかない。
そこにいる人の苦しみを考えることもない。
命を軽んずる、そんな有様を見聞きするにつけ、世の中に憎しみが広がって悪い方向へしか目がいかないことにも、と考えてしまう。
子供にとって大切なことは『夢を持ち続ける』こと。
夢をもつ子ならば、明日に向かって努力もできる。
八月、この機会に、こんな詩を、一つ一つの言葉を大切にし、静かに、祈るように読んでやりたい。
かけがえのない命の大切さが心の底に染みつくから夢は生まれる。
『ちいちゃんのかげおくり』あまんきみこ(あかね書房)
発刊されて二十年も経つ。
「かげおくり」って遊びを教えてくれたのはお父さんだった。
ちいちゃんは、かげおくりの夢を見ながら、防空壕の中で幼い命を閉じる。
『戦火のなかの子どもたち』岩崎ちひろ(岩崎書店)
「あなたのお父さんが死んだのが、去年の春」ちひろが素朴な絵と短い言葉で、命の大切さを訴える。
『かわいそうなぞう』つちやゆきお(金の星社)
『おれはなにわのライオンや』さねとうあきら(文渓堂)
戦争って、罪もない動物の命まで奪う。
その戦争が今も続く。
(文:石川 貢)

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