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バックナンバー2004年10月第2週

『ざぼんじいさんのかきのき』
すとうあさえ:文 織茂恭子:絵(岩崎書店)

ざぼんじいさんの柿は甘くておいしい。
けれど自分1人で食べて子どもたちが来ても見せびらかすだけ。
そこへまあばあさん、おいしそうな柿をほめると、ざぼんじいさんは食べた後のへたをくれました。
それなのにおばあさん、ほくほく顔で帰っていき、子どもたちとコマ遊び。
へたをコマにしたんです。
さて、それを見たざぼんじいさん、子どもたちが柿のへたをとると思い、柿を全部取って隠してしまいます。
まあばあさんと子どもたちはへたがないのでがっかり。
するとざぼんじいさん、落ちている葉っぱを差し出します。
それでもみんなうれしそうに葉っぱをいっぱい腕に抱えていきます。
今度は…?
ざぼんじいさんも垣根越しに見ています。
…葉っぱ遊びの楽しそうなこと!
今度は子どもたちが葉っぱをとりにくると思い、葉っぱを全部取ってしまい…

そんな風に欲張りなざぼんじいさんと、あるものを工夫して楽しむ明るいまあばあさんの対比が面白く、繰り返され展開します。
最後はざぼんじいさん、心ならずも柿の木を切ってしまって大泣きします。
でもね、隠しておいた柿をみんなにあげて一件落着。

ざぼんじいさんは意地悪で欲張り。
でも何故か憎めない。
まあばあさんは天真爛漫。
それに、何をされてもざぼんじいさんをほめているところがすごい。
信じる気持ちは相手の心を柔らかくしてくれるんですね。
説教臭そうなのに、そうでなく感じるのは、絵のあたたかさも加担しているかな。

(文:浅井店長)

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