星野道夫氏は19歳の時、1枚の写真の出会いから漠然と憧れていたアラスカのシシュマレフ村に足を運ぶことになりました。
そこに住むエスキモーの人たちは、日本人と祖先を同じくしますが、生活は全く違い自然の中で暮らしています。
特にアザラシの肉は彼らの生命の根源です。
見も知らぬ日本人を温かく迎え、世話をしてくれる村人たちと厳しい自然の中で生活を共にするうち、ますます彼はアラスカに魅了されていくのでした。
一旦日本に戻った彼は、大学を出てから写真の勉強をして、カメラマンの道を歩みます。
もちろんアラスカへ。
クマ、カリブー、アザラシ、ザトウクジラ、その他の小動物達、植物、オーロラ…
テントを担ぎ、アラスカの旅が始まりました。
彼は結局クマによって倒れるのですが、クマは彼の生きるテーマだったのではないでしょうか。
もっとも魅力的(神秘的)、最も親しいもの、生まれ変わっていく生命(いのち)を教えてくれるもの。
彼の随筆、韻文も素晴らしい。
「クマよ」「ナヌークの贈り物」「旅をする木」など写真集、著書多数あり。
(文:浅井店長)