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バックナンバー2005年6月第2週

『いつもちこくのおとこのこ――ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー』
ジョン・バーニンガム:作 たにかわしゅんたろう:訳 (あかね書房) \1,529

「せんせい、ぼくが ちこくしたのは、とちゅうで マンホールから わにが あらわれ、ぼくの かばんに かみついて、てぶくろ かたっぽ なげつけなければ、はなしてくれなかったからです、てぶくろは わにが たべてしまいました」

ジョンが遅刻の理由を正直に話しても、

「このあたりでは げすいに わになど すんでおらん。いのこりして <もう わにの うそは つきません、てぶくろも なくしません。>と 200かい かくこと。」

先生は信じてくれません。

その後もジョンはお勉強をするために出かけるのですが、その度に邪魔があっていつも遅刻してしまいます。
その度に先生に訳を尋ねられ、その度に信じてもらえず、その度に反省させられます。
その反省の内容も、
<もう わにの うそは つきません、てぶくろも なくしません。>
と200回書く。
<もう ライオンの うそは つきません。ズボンも やぶりません>
と400回唱える。
<もう かわの たかしおの うそは つきません、ようふくも ぬらしません>
と500回書く。
など、ジョンにとっては意味のないものばかり。

ある日、珍しく途中で何も起こらず、遅刻しないで学校に着いてみると、先生がいません。

「ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー、わたしは おおきな けむくじゃらの ゴリラに つかまって やねに おる。すぐに わたしを おろすこと。」

さて、ここでジョンが先生にとった行動は…

自分の言うことを信じてくれないのは悲しいですが、お話の最後でスカッとした気分にさせてくれます。
立場の逆転が楽しい本。

(文:小人店員)

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