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バックナンバー2005年12月第4週

『賢者のおくりもの』
オー・ヘンリー:文 リスベート・ツヴェルガー:絵 矢川澄子:訳 (富山房) \1,575

『最後の一葉』で有名なオー・ヘンリー作の、クリスマスに起こった心温まるお話。
昔どこかのCMで流れていたのを覚えている人もいるかもしれません。

とある貧しい家庭の夫婦が、この物語の主役。
妻のデラは、夫が祖父の代から受け継いでいる立派な金時計につける鎖を買うために、自慢の長髪を切って売ってしまいます。
そして夫のジムは、妻の美しい髪に映えるべっこうの櫛を買うために、自慢の金時計を売ってしまうのです。

お互いがお互いのためを思って買ったはずのプレゼントが、プレゼントするその当日には無用の長物となってしまいました。

なんて愚かな2人だろうと思う人もいるかもしれません。
でも、オー・ヘンリーは物語の最後をこう締めくくっています。
「彼らこそ賢者なのです」
と。

12月25日のクリスマスは、元々はイエス・キリストの生誕を祝う、キリスト教の記念日です。
そしてキリスト教は「愛の宗教」とも言われています。
デラとジムは、お互いの持っている最も大切なものを犠牲にして、相手のために贈り物を用意しました。
彼らの行動は結局は無駄になってしまったけれど、お互いを思う気持ちこそが最大のクリスマスプレゼントなのです。

おいしいクリスマス料理やサンタクロースの贈り物もいいけれど、クリスマスの日にはちょっとだけキリスト教の愛の精神を見習ってみるのもいいかもしれませんね。

(文:小人店員)

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