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バックナンバー2006年2月第3週

『天の火をぬすんだウサギ』
ジョアンナ・トゥロートン:さく 山口文生:やく (評論社) \1,050

火は人類にとってなくてはならないものです。
食事を作るのにも、お風呂を沸かすのにも、寒い冬の間部屋を暖かく保つのにも、火は必要不可欠です。
昔だったら明かりを灯すのにも火は必要でした。
現代では電気の力を借りることも多いですが、その電気も、多くは火力発電によって供給されています。

今はスイッチ1つで簡単に火を点けることのできる時代ですが、昔の人たちはとても苦労して火をつけていました。
苦労して手に入れたからこそ、火は大切なものだったのです。

さて、この大切な大切な火を、人間たちは最初にどうやって手に入れたのでしょうか?
答えは神話の中にあります。
火の起源の神話は世界中に存在しています(もちろん日本の神話の中にもあります)。
今回紹介する絵本は、数ある火の起源の神話の中でも、北米インディアン(ネイティブアメリカン)の神話を元にした物語です。

この物語によれば、その昔、地上には火がなく、どこもかしこも寒かったそうです。
反対に、山の上には火があって暖かかったそうです。
今と逆ですね。
山には「天の人」と呼ばれる人たちがその火を管理、独占していました。

地上の動物たちは、誰が天の人から火を取ってくるか相談しました。
そして選ばれたのが、動物たちの中で一番ずる賢いウサギでした。

このお話の面白いところは、ただ単に地上に火がもたらされた理由を語っているだけではなく、動物たちが今のような姿形になった理由まで一緒に説明してくれるところです。
カラスが黒くなった理由や七面鳥の頭に毛がない理由、鹿の尻尾が短い理由などなど。
そして、天の人に見つからないように、火を地上のどこに隠したのか?

答えが分かった時、
「ああ、なるほどなぁ」
と関心してしまう、よくできた面白いお話です。

(文:小人店員)

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