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バックナンバー74

江戸仕草

「傘傾げ、肩引き、腰浮かし」
相手に傘のしずくをかけまいと傘を傾げる。
身を引いて道を譲る。
席が混んだら、腰を浮かして、ほんの少しつめる。
「上そろり、中ばたん、下三寸、そのまた下が開けっぱなし」(九四号参照)
もそう。
相手を気遣い、思んばかるちょっとした行いが、江戸仕草として伝えられてきた。
こんなうるおいがあった。
ところで、今時、こんな気遣いをする人とは、めったに出くわさない。
知らなければ、伝え、継がせることなどできるはずもない。
とかくこの世は不安だらけ。
「生きにくい世の中だ」
と言われる。
でも、そうしてしまった原因は、と考える時、人間らしく生きる基になるものを無くしてしまった、そんな気がしてならない。
「訪ねていく所を見失ってしまった」
と言うこともできるかも。
心は、行いに現れ出るもの。
江戸仕草など、そんな古くさいものは、などと片付けてしまう前に、もう一度、昔はあった行い、知恵を、わたしの家だけにでも取り込んでみたいとは思いませんか。
少なくとも、子どもの心に相手を気遣う「うるおい」だけは形作ってやらなければ、と思う。
『三つのお願い』L・クリフトン(あかね書房)
三つの願いがかなう一セント玉を拾ったゼノビアの一番大切な願いとは?
『ペカンの木の ぼったよ』青木道代(福音館)
赤ちゃんの時、病気したりんちゃん、立ったり歩いたりすることができない。
でも、みっちゃんがお話すると「うん、うん」と一生懸命聞いてくれる。
『おばあちゃんすごい』中川ひろたか(童心社)
お手玉でも、けんだまでも、おばあちゃんは何でもできる。
(文:石川 貢)

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