香り豊かな 佐貫地区

 

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 北は染川河口から、南は笹毛長磯までの約3kmの自然海岸です。全体的に砂浜ですが遠浅ではなく所々に磯があります。長磯は干潮時に南北50m、東西200m程度の磯が現れます。
 ここは50年前まで、海岸はすべてクロマツが支配的植物でそこにわずかにヤブツバキが混ざる海岸で、しかも多くのクロマツは根上がりでした。特に鳥居崎という小さな双丘は間に鳥居をはさんで、廻りはすべて松林、下草がなく白砂が続いていました。

 この鳥居崎の下の海岸植物がまた独特で、現在では鳥居崎から北へ僅か100mの間にのみ分布しているハマゴウ(浜香)は、這い性の(草ではなく)低木で、葉、花、茎が自動車空気浄化剤クリアフォレスト(商品名)に似た芳香を持っています。昔は香の材料、蚊遣りなどに使われたらしいですが、今は顧みられていない植物です。7月末に紫色の小さな花が房状に咲き、9月にたくさんの種が出来ます。

 植物図鑑によれば、ハマゴウは、日本の多くの海岸に生息しているらしいのですが、房総半島ではなぜか珍しい部類に入り、外房・内房を捜して生息が確認出来たのは佐貫海岸、それも新舞子、大坪海岸だけです。

 何はともあれ、佐貫海岸では、ハマヒルガオとハマゴウが共存して群生し、近づくとすっきりした芳香が漂います。あたかもハマヒルガオがにおっているようです。

 佐貫地区は土地造成や、残土処分などでの富栄養土の持ち込みがなかったため、海岸植物は松を除けば総じて健全性を保っています。また、地区民による定期的な海岸清掃が伝統化していて海岸は比較的きれいです。 細かく見れば、廃船(ボート、ヨットなどでなく漁船)の不法投棄があり、海岸駐車場はただ広場があるだけ、トイレはくみ取りといった難点がありますが、ちょっと工夫すればかなりいい線になると思われます。

 新舞子駐車場の階段に咲いたハマヒルガオです。これにヒントを得て例えば、ハマヒルガオとハマゴウを立体的に植え込んだモニュメント的な構造物を作る。(花と香りを供給する)駐車場内に20本程度の松を植える。などです。トイレはせめて簡易水洗にしてほしいものです。

  新舞子・笹毛・長浜海岸の2016年オニシバ状況

 染川を渡って、新舞子海岸北側はオニシバに粗配置のハマヒルガオの丘で、南に行くと、コマツヨイグサにハマゴウ、そして粗配置のハマヒルガオの分布になります。特に海岸近くの泉が流れて、砂に浸透している場所は密集ハマヒルガオの群生になっています。

 笹毛海岸から長浜までは、オニシバに粗配置のハマヒルガオ分布です。