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ハマヒルガオ通信


2018ハマヒルガオ通信
 自然海岸が残る西上総湊海岸から富津海岸まで、今年のハマヒルガオ開花状況を調べました。

 上総湊海岸の湊川河口部です。階段の石畳の継ぎ目にハマヒルガオ。ここは年々ハマヒルガオが勢力を盛り返しているところで、数年の内に幅200m長さ1kmの花の回廊となるでしょう。

 新舞子海岸の染川河口部です。白いハマヒルガオは亜種でしょうか、これと普通のハマヒルガオのコラボがかわいいです。今年始めてお目見えした群生部です。広さは幅5m長さ20mです。ここから、南、約500mは去年大潮をかぶり今まで繁茂していたオニシバが一掃されたところです。今年はハマヒルガオがここかしこに見られるようになりました。来年以後が楽しみです。


 大坪海岸から磯根岬まではハマヒルガオがありません。わずかに大坪海岸の駐車場跡地に若干の分布が見られます。

 磯根海岸の漁業センターフエンス沿い南北2箇所のハマヒルガオ群生地でまずは南側。この数年不調な磯根ハマヒルガオの中で唯一気勢を吐いていた場所ですが今年は厳しい状況になりました。

 もうひとつ北側の群生地もご覧の通り、山の頂点はみごとにハゲました。4年前までの磯根はあんなにハマヒルガオがあったのに自然の変化の早さにただ呆然とするのみです。

 岩瀬海岸には一部3m四方だけ密集ハマヒルガオが見られましたが、あとは土手に散在しているだけでここから篠部海岸まで、ハマヒルガオはほとんどありません。

 富津下洲海岸のハマヒルガオです。じゅうたんのようとは云えませんがみごとな復活です。ここは2011の津波をかぶりその後1ヶ月くらい引き残った塩水をかぶり続けた場所で長らく不毛の土地でした。そこに緑の第1号としてハマヒルガオがやってきたと云うわけです。

 以上、概観するに、ハマヒルガオは土地の地味復興の兆し先駆けの植物で自己の繁茂により土地を豊かにし、コウボウムギやハマボウフウ、そしてオニシバなどが増え出すと静かに退場する流れ者みたいな性質を持っているようです。従って何かのトラブルでオニシバなどがやられるとまた帰って来るということになります。



2019ハマヒルガオ通信

 磯根海岸の漁業センターフェンスそばの群落です。去年まで二年続けて花が咲かなかった群落が今年は満開です。領域も広がりました。右上に富士が見えます。

 磯根のこの部分の群落の消長を5年の間観察してきました。 その概略を紹介します。
 フェンス近くをA領域とし、上の写真で咲き誇っているところをB領域とします。

 2015年:A領域が密集で花も満開状況。B領域はハマヒルガオだけが分散し、花はなし。

 2016年:A領域が密集で花も満開状況。B領域は分散だが密度が高くなった。花はなし。

 2017年:A領域にコウボウムギ増。花なし。B領域が密集配置、領域も広がる。花はなし。

 2018年:A領域は全体にハゲてきた。 B領域密集配置、領域も広がる。花はなし。

 2019年:A領域に人が砂あげ。花なし。 B領域密集配置、花も満開状況。領域も広がる。

 5年かかって、A領域とB領域の花の分布が入れ替わったことになります。
A領域のハマヒルガオが絶滅した理由は、冬の間の砂の堆積が進み3月に芽を出せなかったためと考えられます。

 B領域はまばらな分散から密集化して花が咲くまで2年から3年かかったことになります。

 B領域が今後どのようになっていくか引き続き観察を続けて行きます。

 磯根海岸の砂丘谷すじの浜昼顔も今年五年ぶりに復活の兆しが見えました。
 なお、磯根の中央砂丘(100m×200m)のハマヒルガオ復活は今年もありませんでした。オニシバにほとんど占拠されて、ハマボウフウが分散状態に配置されて丸3年経過しました。

 磯根海岸漁港の埠頭脇の浜昼顔です。今年は領域が広がりました。
 総じて磯根海岸はほぼ全滅の去年よりわずかに復活の兆しが見えました。大風がなく雨に恵まれたのも好結果につながった点です。

 下洲海岸です。2011年の津波で潮をかぶりそれが一ヶ月以上たまったままになった場所だったので2016年頃まで植物がなく不毛の土地でした。その後貧相なハマヒルガオが出て3年たってようやくここまで来ました。
 磯根に比べて緑が淡いのは、群落の中にコマツヨイグサ(外来種)が混じると淡くなるようです。(実際に淡くなっているわけではなくカラー写真の特性で淡く見えてしまう)


 下洲海岸はセーリングサファーがいて、富士が見えるので絵になるところだと思います。

 この構図で富士をきっちりと強調するにはかなり高度の写真技術が必要です。

 対岸の山並みについて。奥の淡い山並みは左から箱根、大山、丹沢、富士です。


 上総湊海岸(湊川河口北岸付近)です。階段のコンクリート隙間のハマヒルガオが売りなのですが今年は砂の害があって芽生え出来なかったり開花が遅れたりと言うことになりました。階段部だけは安全上からも春先早い時期に砂の除去が必要だと思います。


 上総湊海岸のハマヒルガオは砂丘がなくフラットなので見栄えの上で損をしています。去年よりハマヒルガオの領域は広がりましたが開花が遅れ気味です。


 新舞子海岸です。浜香(ハマゴウ)とハマヒルガオの共存です。ハマゴウの香りが気持ちいいです。


 新舞子海岸の砂丘(海抜2mくらい)は長くオニシバに占拠されていましたが2017年の二回の大風と高潮で潮をかぶり植生がミニリセットされた土地です。2年経ってコウボウムギ、コマツヨイグサ、ハマボウフウなどに混じってハマヒルガオが帰って来ました。
 こちらもコマツヨイグサが多いので緑が淡くなります。

 2019年秋の台風15号、19号、その後の豪雨はハマヒルガオにとっては来年2020年以後の転機(勢力増強)になるのではないかと予測しています。

2020ハマヒルガオ通信
 コロナ禍の中。海岸駐車場はすべて閉鎖されている状態です。そのためほとんどの場所は浜づたいに歩いて行きました。
 去年の台風で大量の流木が漂着しましたが、富津市下洲海岸から篠部、桜井、新田、岩瀬海岸さらに小久保海岸、大坪、八幡、笹毛、上総湊までの自然海浜(砂浜)は、おかげさまで重機が入り流木が一掃されました。

 下洲海岸です。全般的には去年までと同じオニシバが主体でそこに点々とハマヒルガオが花開いている状況ですが、そんな中、オニシバがないところやわずかな風よけ部分の周りには小さなコロニーが発達しています。画像はその一例で、ハマヒルガオとコマツヨイグサ(外来種)のコラボです。

 磯根海岸です。画像は富士とのコラボが出来るフォトスポットでまあまあいつもの状況以上となり面積も増えました。しかしその他の場所はオニシバが主体です。去年はハマボウフウが多かったのですが今年は不作となりました。

 新舞子海岸です。ハマヒルガオがあるのは北寄りの地域になりました。ここでもオニシバが主体的ですが下洲と同じで、斜面や風よけのあるところにコロニーが発達しています。ここでもハマボウフウは不作です。

 笹毛海岸です。去年まであった長年の流木堆積が県の尽力で一掃され海岸がきれいになりました。そんな中、ハマヒルガオが勢力を伸ばしています。

 特に数年前まで漁師さんの網干場跡地のハマヒルガオは非常にきれいに咲いていました。ここは百メートル四方の砂場で周囲に1m程度の高みがあるため風が弱まり、なおかつ長年の雑草取りで他の植物がないためハマヒルガオにとって絶好の場所なのでしょう。咲いている姿は一昔前の磯根の雰囲気になっていました。

 下は上総湊海岸です。ここは200×1000mある土地が去年までオニシバに百%占拠されていました。実はハマヒルガオ保護区域なのですが、これが流木処理のため表土とともにオニシバがひっぱがされたため、ハマヒルガオが急激に増加しました。さらにそれ以上にハマボウフウが増加し、今現在の割合ではハマヒルガオが2に対してハマボウフウが8くらいの割合となっています。写真はその南側の湊川河口北岸付近です、ここにもハマボウフウが多いです。しかし全般的にまだまだ裸地が目立ちます。

 

 接近して撮るとハマヒルガオがあるところにはありますが、全体として白い花がブロッコリーのように咲いているハマボウフウが支配的です。

 上総湊海岸名物ハマヒルガオ階段です。

 今年からハマヒルガオ以外の海岸の話題を載せることにしました。

 まず下洲海岸でハマユウを5株見つけました。この辺の海岸では新舞子に2株ありますがそれ以外は見かけません。ただし直線等間隔に配置されていますので植えられたのかも。それはそれとして大量の貝破片は2011年の津波の痕跡です。(このあたり津波の引きの際に取り残され海水が1ヶ月くらい溜まっていたところです)

 次に三つは笹毛海岸です。

 笹毛と長浜には合計4つの大きな崖があります。この中で笹毛の2つはその南側の頂上に波切不動尊のお堂があります。この崖は観音崎方面からも良く目立ち(例えば映画「喜びも悲しみも幾年月」の冒頭五分ころに数秒間出て来ます)まして、しかも房総の地質を調べるのに格好の標本場となっています。明治時代から東大などが何年も学生のピクニックをかねて見学調査コースとなりました。そのため結構色々なことが分かって来ています。大ざっぱに言うと数百万年に及ぶ東京湾造盆運動のため南の崖に古い地層が、北の崖に新しい地層が見られるのです。

 写真は一番北側の崖です。高さ50mあります。三角形の上の方は渦のような模様になっています。これは何万年もかけて静かに堆積したのではなく数百年くらいの間隔の何回かの海中土石流で堆積したものです。波切不動尊層といいます。踊る天女の波打つ羽衣と地質学者がたとえています。

 その下、木立に隠れて見えにくいですが模様が目立たないのっぺりした部分は粘土層で佐貫層と言います。上と違ってこちらは内湾の静かな堆積を思わせます。

 その下、さらに見えにくいですが、長浜乱堆積層と言いましてこちらには小砂利や地層の断片などがごちゃごちゃに混ざる地層です。

 その崖下で見つけた巨大植物。背丈が1.5mくらい、茎の最大太さが10cmくらいです。ハマボウフウを巨大にしてニョキニョキと育ったみたいな植物です。図鑑で当たってみたのですが見つかりませんでした。

 最後の写真はお地蔵さまです。八幡から笹毛集落に入る道路の途中にある地蔵(80cm高)ですが、頭は別の丸石がくっつけられており、胴体も人工ではなさそう、石質から考えて鑿でここまで薄く削られるものか、ましてグラインダーなどでは数秒で欠けてしまうでしょう。考えられるのは、波打ち際か渓谷の細流か分かりませんが一定の水流によって千年くらいかかってできた表面模様が礫となって乱堆積層に堆積し、そのあと数十万年後に崖崩れで海岸にころがったものを人が地蔵とみて祀ったということです。

 詳しくはこのホームページの「富津地域の磯根石祀り」をお読みください。


2021ハマヒルガオ通信

プロローグ
世界史の歴史に残るであろう疫害新型コロナは2年目を向かえました。去年のように病気が流行ってもいない田舎にまで、指導者は結果責任を問われることを怖れて世に竿ささず、ひたすら目立たないようにだけを願って、我が身の「安心」のためだけに役立つおどろおどろしい大げさな海岸封鎖などを行いました。今年はそれはやめたみたいですが似たような、非常事態宣言やマンボウ発令をやり、肝心のその効果は限定的なのに、悪いことに日本社会にその心理的影響が確実に残り、元々少なかった田舎の人出がさらに細まり減ったままです。田舎人の、人の密集している姿を恐ろしく感じる心も強くなりました。要するにもっと過疎になりたいこちらには来てくれるなと云うことで、大げさに言うとゲージの中に飼われたニワトリのような生活を安心と考えています。

災害、コロナなどで被害が増幅するすべての原因は過度な人口集中にあるとして社会の一発大反転(人口の過度な大都市集中の軟化)が期待出来ると素人の私は思っていたのですが、大学や大企業本社マスコミ省庁国会エンターテイメント施設などの地方移転などで人の流れを分散平準化させる施策を口に出して世に一石を投じる指導者は希有どころか皆無です。ただ政府、全知事非常時だから人流を止めるの一点張りです。

人流が止まったら人の社会はなくなります。過度に集中する事がなく人流を維持し、総計すると増えているような状態にすることが重要です。

「田舎」の更なる過疎化、一方、傍から見るとすべてに危ないように見えるのに指導者を含めて人はあのごみごみが好きなはずはないのだが、やっている感を出せるので、そして反対者が少ないという意味で一番簡単な問題先送り軟弱な地盤に上へ下への迷路を作り上げることに邁進し人口の更なる大都市集中その結果としてかも知れない少子高齢化などは止まりそうにありません。

話は一転、過疎の象徴花(かも?)「ハマヒルガオ」の今年の作柄についてです。
ハマヒルガオという植物はゴールデンウィークが旬なのですが、今年のゴールデンウィークは全日強風となりハマヒルガオにとっては良くない年になりました。ただ開花は半月以上早くなりました。

下洲海岸

写真手前:ハマヒルガオと、黄色い花はコマツヨイグサ。小さくて目立たないが活動期前のオニシバも見えます。さらに這い性のイバラがまざり、奥に行きますとこれにチガヤが加わります。
生育密度は去年と同じレベルですが、年々ハマヒルガオのエリアが増えています。南へ篠部、布引、岩瀬海岸と続きますがほぼこのようなポツンポツンとハマヒルガオが咲いている状況です。

磯根海岸

5年前まではここ一面がハマヒルガオで埋め尽くされていた場所です。4年前から不調になり去年はついにハマヒルガオがまったくなくなりました。今年はほぼ一面に点々とハマヒルガオが見えるようになりました。まあ下洲海岸と同じレベルになったというところでしょう。

画面中央部、流木に沿って点々と生えているのは、今年実生したハマヒルガオの苗を4月20日に採取しそれをここに移植したものです。撮影は5月10日、活着率は30%くらいでした。
上の画像に見えるハマヒルガオのほとんどは去年かもっと前に育ったものの茎根から出た芽が育ってこの春に葉を出したものです。ハマヒルガオは茎主体の宿根性のような草ですが、1個の種から育ったコロニーが3年くらい掛かって平均30cm、最大で直径1mくらいの大きさになると大量の花を咲かせてその後枯れてしまいます。

ハマヒルガオの種からの芽生えは3月から8月くらいまで続きます。しかし、ほとんどは波打ち際の流木のそばとか大雨が降ると川となってしまうようなところで、こういうところは生えても成長が難しい。一方いわゆる海岸砂丘地帯は苗がある程度大きくなっていれば成長に適しているのだが、砂丘全体の乾いた印象からして種からの発芽率は0.01%以下でしょう。2週間の水源があれば育つだけの大きさになれるのですがこれがかなわない。そういうことで世代交代がうまくいかない。そういうことでハマヒルガオがある年突然姿を消す。と、いうことのようです。砂の堆積などによる水源の変化がその盛衰を助長します。流木や杭などの構造物が風の方向や強さを乱して盛衰を助長します。

昨年秋に作った上の写真のこの流木枠は砂の下に流木チップを敷いてあります。流木チップが種からの発芽後2週間の水源になるようにとの願いでした。その効果と思われますがこの場所で実生の苗1本を見つけることが(4月20日)出来ました。

自然繁殖したハマヒルガオ。コウボウムギとガチンコ勝負を強いられていて負けそうな雰囲気です。ハマボウフウ(右下の白い丸い花の集まり)は今年は豊作です。

新舞子海岸

ハマヒルガオは流木などに寄り添う姿をよく見かけます。これは流木などによって風の流れが変わり渦巻きや風だまり・無風地帯が生まれ種が掃き寄せられ、流木によって水事情が良くなるのではないかと考えられます。とにかく、真っ平らな砂地の真ん中にはハマヒルガオコロニーが発生しにくいようです。この中に実生の苗が育っていると世代交代が続いて来年もハマヒルガオが集中して咲くのですが普通はそうはいかず、来年は葉だけになったり、場合によっては更地になってしまうことが多いのです。

 砂丘のあちこちに2×5m四方の大きさのコロニーが発達し他の植物が少ない状況になりつつある。エリアが広がり去年よりは豊作です。

実は去年新舞子でも流木枠の花壇をつくり、流木チップを敷き詰めた試験場を作りました。4月27日に実生のハマヒルガオ10本を移植しました。その半月後の状況は・・・・・・・

まがりなりにも現物が残ったのはこの1本だけ。しかも根付いてはいませんでした。移植2日目にまとまった雨が降ったのでこれで活着は間違いないと踏んでいたのですが・・・・。たっぷり水を含ませ一緒にそわせた流木チップ(写真の木片)も乾ききっていました。これは連休期間の連日10日間の強風のなせるわざかも知れません。砂の下に敷いた流木チップも乾いていました。
このハマヒルガオ苗と、本日(5/12)、新たに採取した実生のものを含めて流木チップと共に同じ場所に植えてきました。

上総湊海岸

見栄えがするように写した写真です。全体としてはハマボウフウが主体的な植物です。ハマヒルガオやハマボウフウが終わると花が咲かなかったハマヒルガオは葉を茂らせエリアを拡げオニシバが繁茂してきます。この中で、ハマヒルガオとハマボウフウは年々確実に広がっています。ただコロニーの広さが狭い。

湊海岸名物の階段ハマヒルガオは数年前と比べると迫力が落ちました。

去年から活動が始まった「アマフル」(天羽ふるさと活性の会)の移植試験場。
看板に寄り添って綺麗に咲いた花は自然からの贈り物です。ただコロナ後の目から見るとリモコンの押しボタンの回りの×××に見えて来ちゃったりします。

会の皆さんが手を入れた囲いの中央部の状況はきびしい状況でした。ハマヒルガオに限らず病気も含めて社会活動など含めていいですが、すべてに云えますが自然や社会の節理は理解しようとしてもまして好みに合うように導こうとしても一筋縄では行きませんね。

ハマヒルガオの花の構造は、五角形のアサガオ型、ガク(花を支える土台、うてな。つぼみの間のカバー)は6枚の小さな葉のような形、五角形につながったひとつの辺の花びらに1本のオシベがくっついていて合計5本、中央にメシベ1本。結局6枚のガクのうち5枚のそれぞれに、花びらとオシベの一組がくっついて5組、残ったもう1枚のガクに胚と メシベが1組みくっついて花を形成しています。

日の出とともに開花し日の入りでしぼむ1日花。アサガオなどは夜が明ければ開花するがハマヒルガオは日の出で開花。ここでアサガオとは1時間くらい差があります。太陽に花を向けます。花の中に蜜があります。

ハマヒルガオは茎が空中や砂中の四方に伸びてところどころに根を張りながら領域を広げます。秋には地上部が枯れますが茎根は砂の中に生き残り、次の年の早春に、茎から葉を出し5月早くに開花します。こういうことからハマヒルガオは多年草のように見られ10年ぐらいは茎根が持つのではと何となく見られていますがきびしい自然の中はそんなに甘くはありません。人為あるいは自然の攪乱を除いても案外と寿命は短いのです。

ハマヒルガオは実生で芽生えた場合2,3年で花をつけ出します(若い株は季節が遅くなって花が咲き出す)が、その多くは結実しません。花が終ったあと申し訳のように小さな実のようなものが成りますが、触って見ると中は空です。一方別のコロニーでは同じ晩春に直径2cmくらいの大きな実が大量に成っています。この差はいろいろ考えられますが結局株の生育度の差ではないかと考えられます。このように開花後の状態は2種類ありますが、このあとハマヒルガオはどうなるか、実はよく分からないのです。結実に成功した個体は周辺に種をバラ播いた後、実の熟成に精力を使い果たしたように8月頃までに地上部はもちろん茎根を含めて溶けるように枯れてしまうように見受けます。

しかし、花を咲かせたが結実しなかった個体は、花の周辺部分は枯れるがそこから遠い茎は生き残るのではと考えています。開花によってエリアの若干の縮小はあるがその後夏から秋にかけて勢力を盛り返し翌年の開花のためのエネルギーを蓄えているようなのです。花が咲かなかった個体もこれと同じようになります。

ちなみに以上3種類の個体コロニーに言えますがこういう所の中に新しい実生の個体が生える、そして次々に成熟することで全体の外見では永遠の繁栄をしていくということはよほど人が管理をしっかりしていかないと自然任せでは実現しません。同種とは云えあまりに近く「他」がいるのはハマヒルガオは嫌いなのです。

なお「一つの個体」という言い方をしていますが、植物の場合例えば茎が切断されれば遺伝的性状は別として、それ以外の寿命とかウイルスや病原菌の影響、生育の状況とかは1回リセットされむしろ若返った別の個体になったと考えた方がいいようです。

エピローグ

卯の花とアザミ。5月5日7:57自宅にて

卯波とハマヒルガオ。残念ながら真正面に見えるはずの富士は霞の中。5月10日15:13磯根。
4月4日8:10佐貫八幡の円鏡寺境内。風もないのに桜吹雪。(右側中央庇の黒に浮かぶ白いものは花びらです)

にぎやかな和尚さんが亡くなって2年。庭が荒れています。ただ今護持会が清掃中。
コロナになって減ったのが救急車のサイレン、結婚式、そして葬式。特に葬式が病院からの直行で無機質な葬儀場の片隅で若い孫娘息子はスマホに目と手を集中させた無言の家族葬。下手したら読経もなく火葬場へ、その日に納骨ではペット並ということになりませんか!?。CMの大きな白いお父さんなら満足でしょうが、人間やはりペットよりは上だろうとの見栄がありますから存在序列が家庭内ラストでも、皆さんを喰わせてきた最大の功労者ですから、せめて、一日くらい唇に水を含ませたり、湯灌したり、死に装束に着替えさせたり、お父さん論議に花を咲かせて下さいよ。

円鏡寺は小さなお寺ですが泊まれますので、このようなたたずまいのお寺でのあたらしい葬式のあり方など案外とこれからの世の中の主流になるのではなどと想像したりしています。もちろんコロナ後ですから、泊まり部屋、寝具、食事、トイレ、エアコンディション、TVのリモコン等コロナ認定90001(?!!)取得なんてとやらなければなりませんけどネ。

 

2022ハマヒルガオ通信

富津下洲海岸

 全体的に去年並み。ハマヒルガオの領域は広がっていますが、密集したコロニーは形成されていません。ポツンポツンとハマヒルガオが咲いている状況です。この数年オニシバが少なくなりハマボウフウが広がっています。

 下洲海岸には所々にハマユウがあります。自然に生えてきたものではなく人工的に移植したのではないかと思います。

磯根海岸

 全体的に復活の兆しが顕著です。特に見せ所の中央丘は広い範囲にハマヒルガオが花をのぞかせています。それでも六年前の全盛期に比べて20%程度です。しかし来年以後につながる確かな手応えが感じられます。

 一番顕著なのはオニシバが少なくなり地面の肌が見える部分が増えていることです。またどこの海岸もハマボウフウが増えていますが磯根だけはハマボウフウが少ないです。

 2019年を中心に行なった根付き苗の移植実験(水源として砂に腐った流木チップを加え流木で風よけした地に苗を植えて活着を確認する実験)は秋の活着まではOKでしたが年内は成長せずに枯れ(冬に枯れること事態は本来の生理)て、しかし翌年の芽生えも翌々年も芽生えもありませんでした。

 ただここで本来の狙いではなかったが結果オーライの事象がありました。それは砂を詰めた10個の土のうを西風に対して直角に並べた風下側に流木チップを添えた根付き苗を植えた実験ですがこれがすべて全滅。ところが2年経つと風上側に流砂が堆積しその斜面にハマヒルガオがコロニーを作っていました。(風下側はコウボウムギなどが生えていました)防風には流木では低すぎ、そしてハマヒルガオにとってのユリカゴは防風材の風上だったのです。この場合種まきや移植は必ずしも必要ではなく、その環境がハマヒルガオの種にとって一番風に対して安定し、雨の水分が長く保水されると云うことではないでしょうか。

 磯根のハマヒルガオは富津4箇所の中で、花のピンクが濃い、花が大きい、葉の緑が濃い、コロニーが大きいというように一番見栄えがします。

新舞子海岸

 全体として去年並みです。ただし一番の見せ所の中央海岸に3m径くらいのコロニーが3つ出来ました。コロニ-の数は栄枯盛衰があり場所は移動しますが全体で7つくらいです。 ハマボウフウは割に少なく。オニシバはずいぶん少なくなりました。砂の地肌が見えています。ちょっと以前にはオニシバの立ち枯れが目立っていたものです。また新舞子にハマユウが一本残っていましたが今年は小さくはなりましたがまだあります。磯根と同じくここでも根付き苗の移植実験をしましたが失敗でした。ここでは土のうを使ったものはやっていません。

 新舞子の特徴は笹毛海岸と同じくハマゴウとハマヒルガオのコラボが見える事です。ハマゴウの独特の香りはまさしく新舞子の夏休みの香りです。 新舞子はこの時期釣りの来客が多いです。今日も袖ヶ浦に混じって千葉ナンバー、習志野ナンバーがあり驚いたのは青森ナンバーもいました。ウイークデイーの本日(5/12)、台数も富津4箇所で断然トップでした。

 迎える海岸側としても釣りにプラスアルファを考えたらいかがかと提案します。釣り民宿、和船櫓漕ぎ釣船、釣りの獲物料理、魚のさばきサービスETC・・・現在錦海亭がかなり頑張っています。(クラウドハンテイングで資金集めをしサウナ風呂を造ったとのこと)

上総湊海岸

 名物の階段ハマヒルガオは去年並み。年々距離が長くなりすぐに500m長さになるかと思いきやあまり成長しません。全体として去年並みです。

 ただオニシバが少なくなりハマボウフウが多くなりました。

 ボランティアの「アマフル」が行なった実験(2020年、茎を移植し風よけに流木を使う)は失敗しました。現在ハマヒルガオ畑でなくハマボウフウ畑になっています。

 苗であれ茎であれ、ハマヒルガオを持ち帰り自分の家の庭に植えたらほば100%活着し翌年も生えてきて花を咲かせ(ただし実が熟さない)、翌々年には例え完全撤去したつもりでいても生えてくる。放っておいたら絨毯になる、というハマヒルガオを海岸に植えるとまったくだめというのは不思議ですがこれが現実です。また、種を播いて芽生えさせるのもなかなか難しいらしいです。

トピックス(見どころ満載上総湊海浜公園海岸林)

 海岸の本来の樹木(タブ、グミ、モチ、トベラ、カシ、マテバシイなど)が見られます。日本の砂浜と云えば松ですが、これは人が常に下草や松葉を取り除く作業をしないとすぐに松食い虫などにやられて絶えてしまいます。まあ、人工林なのです。

 上総湊海浜公園は約2kmの遊歩道沿いに海岸本来の自然林が見られます。これはなかなか見所があります。それとは別に今シャリンバイが満開です。またトルコキキョウに似た花が満開です。トベラはもう少し後でしょう。

 遊歩道沿いにある海難遭難者の慰霊碑(富津の海岸では浜施餓鬼行事は今も絶えていない)の前はドクダミの絨毯でした。これはこれでいいものです。一見じめじめむしむしした感じですが意外と風が通り少なくとも蚊はいません。ドクダミのにおいが虫をよせつけないのかもしれません。